本格的な日本の産物を対象とした本草学は、江戸時代になって一気に高まりをみせ、貝原益軒(1630〜1714)の「大和本草」16巻・付録2巻・図譜3巻の公刊は、この種の図譜のあり方に大きな影響をもたらした。そしてそれは18世紀後半に向かってピークを迎え、本草学の名のもとに、万物に対する探究心を満たそうとする、大きなうねりを巻き起こしたのである。
その流れのなかで収斂し完成した日本における本草学の成果ともいうべきものが、質・量共に江戸時代最高・最大の鳥類図鑑といわれる堀田正敦(1755〜1832)著の「禽譜」である。
「禽譜」は、個々の鳥を一種類ずつ一枚の紙に描き、鳥の名称及び原図の所蔵者などの情報を図の片隅に記している。図と並んで文章も別紙に記されており、そこには、和漢、地方による呼称の別や、外見上の特徴、生息環境のほか、見聞した情報、その情報や図に対する編者のコメントなどが簡潔にまとめられている。そしてさらに加えて故事や和歌、本草学上の主治などの内容を一層充実させ、独立した書として「観文禽譜」12巻を完成させている。
正敦は、仙台六代藩主宗村の八男で、堅田・佐野藩主。幕府の若年寄を42年間務めた有能な行政官で、財政事務を担当し、老中松平定信を補佐、大名たちの文化サロンの中心メンバーであった。
構成
| 折本大(縦横約49×29cm、大禽譜とも呼ばれる) |
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水禽(中、下 各1冊。上を欠く) |
各87、69項目 |
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原禽1冊 |
56項目 |
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林禽1冊(上,中各1冊) |
各122、57項目 |
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山禽1冊(上1冊) |
36項目 |
| 折本小(縦横約20×15cm、小禽譜とも呼ばれる) |
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小鳥(原禽2冊) |
各87、62項目 |
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小鳥(原禽2冊) |
各85、80項目 |
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異邦産小禽 (「観文禽譜」山禽下に対応。1冊) |
83項目 |
| 巻子本 |
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原禽一巻(縦横約41×1272cm) |
48項目 |
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山禽(下,下二各1巻)
(縦横約54×1,409cm、54×1,253cm) |
合計83項目 |
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