【宮城県図書館】
 坤輿萬國全圖 6卷

資料分類
図書館古典籍類所蔵資料目録
タイトル
坤輿萬國全圖 6卷
タイトル(ヨミ)
コンヨ バンコク ゼンズ
別タイトル
 
統一タイトル
 
責任表示
(明)利瑪竇(Ricci, Matteo)撰 (明)張文〓校
著者名
利瑪竇(利瑪竇. 1000563)
張 文〓)
出版事項
日本写本(彩色)
法量
(164.8-168.2)×(61.9-63.4)cm
数量
6軸
注記
 
別タイトル注記
 
内容注記
 
印記注記
 
出版年注記
 
解説
『坤輿万国全国』が日本にもたらされた時期は不明である。リッチの世界図は,この地図に関心を抱いた当時の人々によってさかんに写しとられ,現在10数本の所在が明らかにされている。宮城県図書館蔵の写本は,寛文4年(1664)以降に写されたものであろうとされている。青木千枝子『我が国における「坤輿万国全図」模写図の諸問題について』(『人文地理』43-5 平成3年)によれば,第四軸目にある呂宋(ルソン)と大琉球の間の島にこの写本では「東寧」という名称か記されているが,原本(李子藻版)には島名がはいっていない。この島は台湾にあたるが,ここが「東寧」と名付けられたのは,1664年,当時この島を支配していたオランダを追放した鄭成功の子,鄭経によってである。したがってこの写本はそれ以降のものであろうとしている。写本は,上の「東寧」の例にも見られるように,単に原本をそのまま写し取ったものではなかった。主として前掲の論文によってその相違点を次にあげてみる。(1)彩色されていること。(2)地名には判明する限りふりがながふられていること。(3)日本の地名が修正されていること。ただし,大陸にある「野作」(エゾ)」はそのまま残されている。(4)地名,島嶼,浅堆の書き加えがあること。これは,殊に東南アジアからインド洋上に多く認められる。また,日本の東方海上には新たに「金島」が描かれ,名称が記されていなかった島に「銀島」と表記されている。(5)第1軸にある宇宙の構造を説明した「九重天図」の八重天に関する文中,地球を1周する時間を李子藻版は4万9千年としているが,写本では7千年になっている。李子藻版の解説中にあげた船越論文によれば,「九重天図」は李子藻版と同年に出版された『月令広義』に載せられており,前掲の青木論文によれば『月令広義』中の文は「七千年」になっているという。(6)第3軸にある李子藻の序文中の第1行目は李子藻版では「唐賈南皮畫寸分里」だが,写本では「元朱子本畫寸分里」に,同じく第22行目の「偉人異書世不易遘」が,「語不云乎在夷則進」になっている。前掲青木論文は,第1行目については写本のほうが事実に対して正しく,訂正を加えたと見ることができるが,訂正をなしうるのは李子藻自身であるとしている。(7)ポルトガルの国名表記が,李子藻版では「波爾杜瓦爾」であったのが,写本では「佛郎機」になっている。更に写本にポルトガルについて「佛郎機乃回回誤稱本名波杜尓瓦尓」(本当は「波尓杜瓦尓」であるが,しばしば「彿郎機」と誤って使われると言う程の意味。「尓」は「爾」と同じ)の注記が書き入れられてある。また,どちらの図にも第五軸の大浪山(希望峰)付近の海上に「佛郎幾商賣云々」と書かれている。前掲青木論文は,明時代には「佛郎機(幾)」がポルトガルの一般的な表記であり,それに統一しようとしてこのように直したのであろうとしている。以上が写本と李子藻版との主な相違であるが,青木論文は(5)~(7)のことから,この写本が拠ったもとの図は,万暦30年のいわゆる李子藻版ではなく,それ以降に作製された世界図であろうと推定している。日本に伝わり,多くの写本を生んだ『坤輿万国全図』は,江戸時代の人々に新しい世界を示し,学問や思想に大きな影響を与えた。新井白石の『采覧異言』(享和2・1802)における『坤輿万国全図』からの引用はよく知られているが,仙台藩の蘭学者大槻玄澤も『環海異聞』(文化4年・1807)や,『万国人物図略序説』(享和3年・1803)の中でこの『坤輿万国全図』について触れている。
国総目分類
 
コレクション
一般古書
冊子体目録
E:『宮城県図書館所蔵絵図・地図解説目録』1091
請求記号
20180
台帳番号
 
代替資料の有無
無し
文献ID
61695
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